Marlin Automatic
■「マーリン」の誕生
1950年代半ばに誕生。
第2次世界大戦中の1944年に“U.S.TIME”と社名が変わり、1950年に同社の商品名のひとつとして誕生したのが、TIMEXでした。
当時クォーツ時計は世に存在せず、商品はすべて機械式時計でした。
■当時の時計
1950年にU.S.TIMEから発売されたTIMEXは、5年の歳月をかけて新しい素材=アーマロイという硬い合金を素材に取り入れ、高精度を保ち、耐刺激性に優れた“V-CONIC”という新型ムーブメントを開発しました。
時計は、オーソドックスな3針の定番モデルでした。
■大ヒットの要因
第2次世界大戦後、アメリカ経済はその後に来るベビーブームなどと相まって成長期に入り、一般家庭にカラーTVや洗濯機、車などが普及していきました。
そんな中で「手に届く価格で品質が良く、完成度が高い」時計を提供したTIMEXは、生活が豊かになり始めたアメリカ人の心を掴んだのです。
その証拠に、TIMEXは全米で25万店舗に取り扱われるまでに成長しました。
マーリンは、それまで時計=高級品だったものを、それまでの一般的な時計にはなかった堅牢性=耐衝撃性や防水性を備えながら、高い品質と普通の人々が手に入れやすい等身大の価格で手に入れられるアイテムでした。
■復刻のワケ
「ノームコア」に代表されるような、品質に見合わなくても高価なものや、不釣り合いなブランドモノにお金を払うのは格好悪いという最近の風潮もあり、TIMEXは“歴史があり、本質的に価値のあるもの”を作ろうとマーリンの復刻を決定しました。
2017年の秋に発売された復刻版マーリン(写真下)は、当時のものをそのまま復刻した点や、TIMEXがおよそ30年振りに発売した機械式時計だったことも影響し、アメリカ本国をはじめ日本でも話題となり売切れが続出することとなりました。
■手巻きマーリンとの違い
主な違いは、
・ムーブメント 手巻き → 自動巻き
・ケースサイズ 34mm → 40mm
・日付機能の追加
・デザインのモダン化(インデックス・針など)
■自動巻き(オートマチック)ムーブメントとは
自動巻き(オートマチック)は、時計を腕に着けているときの普段の動きで、電池がなくても時計の動力となるゼンマイをパーツを介して巻き上げる機構です。
マーリンオートマチック40mmは、40時間パワーリザーブです。
ケースバックは、マーリンの動きをフルディスプレイで表現しています。
機能的で美しく、21石からなる機械的な動きを長く、そして規則的に。
時計としての精度を一層高めました。
■機械式時計のメンテナンス
機械式時計は、歯車などのパーツが複雑に組み合わさることで時刻表示を可能にしている、精密機械です。
このため、日常的に使用いただいていると、車のエンジンのように定期的なメンテナンス=オーバーホール(分解清掃)が必要になります。お買い上げ後、3~4年で初めてのオーバーホールをお勧めします。
■機械式時計は、クォーツよりも精度は劣る
機械式時計は、どの商品であっても、一般的にクォーツ時計よりも精度の点では劣ります。
これは、ムーブメントは精密にパーツ同士が組みあい、注油や精度調整などを経て作られる“機械”の宿命ですが、一方で着用や巻き上げなど人の手で動力を得て動かすという、アナログならではの楽しみを感じられる美点があります。